森永卓郎氏の講演

森永卓郎氏の講演を聞きに行った。

メモを取っていないのだがだいたいこんな感じか。

中流が減っている。一千万円、二千万円以上の年収の人はむしろ増えている。だがその一方低所得者も増えている。
安全な会社に勤めているならさておき、自分の生活費の3年分くらいは貯蓄しておきたいものだ。何かあったときのために。

そのためには、ある程度リスクをとった運用も必要になる。ただしなんでも高リスクでということではない。何倍になるようなものへの投資をすすめるわけではない。

昨年はみんな強気だったがシナリオが崩れている。
主要な原因としては、石油、穀物の値上がりがある。
あとはサブプライム問題だ。

石油価格はバブルだからそのうち下がる。
いま上がっているのは、米国とアラブが戦争状態に近いためOPECのぬけがけ増産ができないから。
ぬけがけすると戦争になったときに近隣諸国が協力してくれない。
オバマが大統領になると撤兵するので増産するところがでてきて需給がかわる。

サブプライム問題はそんなに大きくない。三百兆四百兆という単位ではなくて二十兆くらいだ。サブプライム全体で四十兆
なのでその半額がやられてもプライムの資産まではやられないはずだ。

世界で割安なのは日本株と日本の不動産。そこにマネーが流れ込んでくるのではないか。その前に少しずつ買おう。
トヨタ配当利回りで2.5%というのはやはり異常だと思う。

いまは景気が減速しているとは政府は言わない。なぜかというと景気が悪いということを認めると景気対策が必要になるからだ。

日本の政策は自民と民主で金融政策、財政出動のどちらを動かす(動かさない)でにらみあっている。
この秋以降選挙があったらそこの勝者は何かやるだろう。
安倍が総理になって父親の悲願を果たしたら力尽きたように、サミットが済んだら福田も終わりではないか。

いずれにしても、日本の割安な徐々に資産を仕入れておこう。


アキバはいまは加藤智大のせいでだめになっている。半年くらいで立ち直ると思うが。いまは大阪の日本橋がアツい、。
以前はシャッター通りだったが新しい店がたくさんできている。
たとえば絣の着物を着たお姉さんが足湯に一緒にはいってくれるサービスがある。また、ツンデレのカフェもある。
それから、意外にいいのが「妻」カフェだ。
たとえばカレーを頼むと奥さんになってぞんざいに持ってくる。下げるときに「ごはんつぶついてるじゃないの、
洗う人のことも考えなさいよ!」などと言う。妻に家で言われているようなものだが、これを他人が言うと意外に
ぐっとくるものだ…

森永氏のサブプライムへの認識について

森永氏はサブプライムの問題はそんなに大きくないのではないか、という論であった。
優良な不動産資産に影響はそれほどないから、プライムローンがデフォルトすることはない、というのが議論の元になっている。

これはあくまで、「資産」としての「不動産」価格の問題だとしてサブプライムローンをとらえているアプローチだ。
彼は、不動産のフォークロージャーがなされてオーナーが追い出されて競売にかかると、とられるのは主として有色人種だがその一方で白人の多くが格安で買ったと喜んでいる、というシーンを(間接的に)見聞しているそうだ。
つまり、不動産そのものは動いているし、そこで儲けている連中も多いから底を打つ、ということだろう。

それはあくまで不動産サイドの問題だといえる。
過去に何度もここで書いている(中途半端なものが多いが)のだが、結局いまの問題はサブプライムローン問題ではなくて、証券化商品の問題なのだ。

アメリカではサブプライムローンはほぼすべて証券化されている。その証券化商品がデフォルトしたり、予想を下回るパフォーマンスしかあげられないために、投資家は投げ売りし、結局需給が崩れて誰も買わなくなってしまった。

投資家の需要がなくなったためローン証券化商品の価格が下がり、ローン証券化商品の組成余力がなくなった。出口がなくなったので、ローンのオリジネーターもローンを出すのに二の足を踏む。 一方、セカンダリーでの価格が下がった(スプレッドがあがった)のはべつにサブプライムローン証券化商品だけではない。すでにプライムローンやコンベンショナルなものまでスプレッドが開いている。つまり投資家の購入意欲が大幅に減退しているのだ。 AAAであろうが、昔スプレッド30bpだったものが140bpになったりしているわけだ。 そうすると、プライムローン、FNMA,FREDDIEの規定にあわせたコンフォーミングローンも出しにくくなってしまう。そうすると、不動産購入の手段が減ってしまうのだ。

森永氏が知る入札の光景は米国の現在だ。だが、おそらく購入者の多くはその家を買うのに、あまりレバレッジを効かせないことだろう。つまり、ある程度現金で買うのだ。 その現金を持つものは強い。 ローンがつかないなかで物件を購入する能力のある投資家はどうしても限られるからだ。

米国の住宅ローンはすべてノンリコースローンだという認識の誤り

まず第一に、住宅ローンの契約にはノンリコースの条項は通常入らない。 返せ!が基本なのだ。
その一方、たとえばカリフォルニアの州法では、ものを購入した際のローンについては、ものを失った場合にそれ以上の訴求を認めない、という判例ができている。つまり、実質的なノンリコースはそれで実現している。

だがこの規定は借り換えてしまうと適用がない。 米国では借り換えも盛んだ。とすると借り換えてノンリコースでなくなるのは困るはずだ。 
加えて、税の問題がある。ノンリコースであればものを渡して終わり、というがこれが代物弁済なのか、それともディスカウント・ペイオフ(元本全体の回収はできていないがそれで終わりにする合意)によって異なる。 もしローン残額よりも安い時価の物件を渡した場合、残債の金額と物件時価の関係によっては、債務免除が発生してしまうことになる。

通常、債務免除には税金がかかってしまうのだ。

加えてもう一つ、ノンリコースでないものがある。
それは、ホームエクイティローンだ。
ホームエクイティとは、不動産の価格とローンの金額の間にまだ担保余力がある場合、それを担保にして借りるローンだ。
たとえば五千万円の家を四千万年のローンで買った場合、ローンの残額が三千万円に下がったときに第二順位の担保権をつけてお金を借りることができる。 それがホームエクイティだ。こんなややこしいことをする理由は簡単だ。ホームエクイティローンは、シニアローンと同じように、支払った金利が税額控除になるのだ。
住宅ローンへの優遇措置として、支払い金利の税額控除があるが、これはホームエクイティでも適用を受けるのだ。
だから、猫も杓子もホームエクイティを借りたいということになる。

さてホームエクイティはすぐにデフォルトする。 シニアが払えないときにホームエクイティまで払えるはずがないのだ。
ところがホームエクイティにはノンリコース条項はない。

結局シニアがノンリコースになったところで、ホームエクイティがある場合には物件を手放してもリコースされる可能性があるということだ。

このような状況を打破するため、一部の州では、デフォルトして物件をとられた場合に債務免除益への課税はないというアレンジにしつつある。
ノンリコース化がどこまで進むのかは、そのあたりのアレンジにもかかわってくるだろう。