「グーグルに勝つ広告モデル」?

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 マスメディアは必要か

さて、タイトル買いをして、読んでみて思った。
看板に偽りありじゃないか、と。

このタイトルを見る限り、「グーグルに勝つ広告モデル」をこの本が提唱している、ないし紹介していると思うのは人情だろう。
だがその中には、グーグル(アドセンス?)に勝つ広告モデルがどんなもので、なぜそれがグーグルに勝てるのか、ということの主張がないのだ。

実際はサブタイトル「マスメディアは必要か」というのは比較的内容を表している。
もうちょっと言うなら、「ネット時代の各種マスメディアのサバイバル戦略」とでもタイトルをつけるなら、中身との整合性がしっかりととれることだろう。 
ただし、それなら私は買わなかったが…(笑)

ネット時代になって、限られた時間という資源をネットとマスメディアが奪い合っている。
その中で、広告がどんどん意味をなしにくくなり、その結果スポンサーが降りればマスメディア(電波)は成立しなくなってしまう。
そんな状況下でメディアはどうすべきだろうか? 

たとえばひとつの提案としてオンデマンドポイントキャスト事業」が提唱されている。ひらたくいえば、テレビをオンデマンドで再放送できるシステムで、その場合にはちゃんとCMも流れる、というものだ。
それはそれなりに意味をもつだろう。 ストリーミング配信で、中身に関係するCMであれば、見てもそれほどは苦にならないからだ(もちろん頻度や内容にもよるわけだが)。 たとえばアニメ配信で、その関連シリーズのDVDを販売する広告などは問題ないだろう。実際ビッグローブで配信されているアニメ「コードギアス R2」ではそんなCMが出ているようだ。

この中での提案で面白いのはAMラジオだ。 平たく言うと「若者の時間をAMラジオはゲームや携帯に奪われた。今後は中高年をターゲットに特化せよ」という論調だ。  実際、最近のAMラジオ番組はかなり40代以上向けのものが多い。週末など特にそうなっている。朝からずっと70年代の歌謡曲がかかったりしているのだから。

蛇足だが、面白かった事実がある。これは開示されていたようだが知らなかった。
納豆ダイエットでおなじみの「発掘!あるある大辞典」だが、このスポンサー料が一本1億円だとして、そのうち実際に番組制作を下請けで行った製作会社(おそらく日本テレワーク(野田大元帥の会社だったが今はどうなのだろう?))に支払われた金額はどれくらいか、というものだ。

電通         1500万円
関西テレビ電波料 500万円
地方局電波料     5000万円
関西テレビ制作費   2340万円
制作会社        860万円

なんと、たったの860万円しか制作に回されないのだ!  

それで良質な番組を作ることができないのはなんだか仕方ないような気がしてきた。
ここに搾取の構造がある。

今後、ネットはますます便利になり、一方多チャンネル化は進む。 その中でコンテンツをどのように充実させていくのか、は各メディアにとってますます重要な課題になっていくのだろう。


…しかしグーグルに勝つ広告モデルはいったい何だろうか(笑)