まだまだおさまらないサブプライム、いやクレジット問題

どこの金融機関が何千億円損した、という話が多すぎて、みんなこの話題に鈍感になってしまっているような気がする。
だが、個人では1万円損しても大変なわけで、やはり数千億円とか兆円単位の話は大きい。

毎回のように、これでもう損はない、というコメントが出るものの、追加でまた出てくる。
これはなぜか?

前から言うように、「サブプライムローン」そのものの問題ではないのだ。
これは、クレジット市場全体の問題になっている。

サブプライムローンの焦げ付きにより、証券化されたサブプライムローンポートフォリオがいたみ、結果としてサブプライムローンを裏付けにした証券化商品(RMBS)や再証券化商品(Re-Remic, CDO, CLO) の価値が下がっている。

その結果として、そのような証券化、再証券化商品への投資が手控えられて、投資家がいなくなってしまった。

とするとその証券に対しての需給バランスがくずれ、売りのみとなり、価格が下がる。

この下落は、金利裁定が働きにくい下落だ。
なぜなら、「流動性がない」から価格が下がり、下がるから「流動性がない」のだ。

一般論としては、このような証券はだいたい割安だ。だが投資家がいない。
割安で購入できても、将来その投資のEXITが期待できなければ、投資元本の回収ができない。
保有するだけで下がっていくのは、正直なところバイサイドには恐怖であろう。
売れないわけだから、座して死を待つのと変わらなくなってしまう。

というわけで証券化、再証券化商品の投資家ニーズが減っている。
まったくなくなったとは言わないが、そのような商品が好きなら、セカンダリーで安く買えるわけで、その状況では証券化商品を組成することはかなり困難だろう。

クレジットの問題ではなくて流動性の問題だ、ということの認識をしているひとも最近は多い。

一方、某証券会社の役員は、少し前に日経に向って「政府などの元本保証があるから問題ない」という発言をしていた。それはおかしい。ロクイチ国債だってセカンダリーで下がって当時の人々は死ぬ思いをして頑張ってきた。
だが下がった。

これは保証の問題ではない。流動性問題というべきだろう。