WBS2.0 で思ったこと

アップルストア銀座に初めて行った。
目的は「WBS2.0」に参加だ。 World Business Sattelite ではなくて はWeb Business Shuffleのようだ。

たしか今回はメタキャストからのメールでこのイベントを知ったのだと思う。
HPとブログくらいしか告知してないようだから。


さて、今回のテーマとしてはソーシャルフィード、というかリアルタイムでの無意識のフィードによる情報発信、というのがあげられるだろう。
いままでのウェブはブログを含めて能動的に行動することで情報がアップされるわけだが、それが今後自分が行動することだけによりその行動が発信されて情報が集積されていく、というかんじだろうか。

たとえばGPSが携帯に装備されていて位置情報を常に発信していれば、それも情報だろうし、写真をFlickrにアップするにもGPSで場所がすでに特定されていてそのデータが同時に投稿されるなら、後者だけでもいい情報になるだろう。
検索履歴と過去の他のサイトの購買履歴などから、ものをレコメンドするエンジンなども考えられる。アマゾンでこれを買ったんですね。楽天でこれはどうですか、というようなエージェントチックなものだって技術的には可能だろう。


だが…私はこういうのは大嫌いだ。
ジョージ・オーウェルの世界になってしまう。ビッグ・ブラザーが果してネットの怪物なのかグーグルなのか何なのかはわからない。
ただ、常に行動が監視されるような世界は嫌だ。

誰にでも他人に知られたくない部分はある。
ウェブブラウジングにしてもそうだ。こんなページを見ている、というようなことを第三者には知られたくはないこともあるだろう。
それがアダルトサイトであろうが特殊な趣味のサイトであろうがだ。転職サイトだって見ていることを会社の同僚には通常知られたくない。
行動にしてもそうだ。
自分がある特定の場所に行ったことを知られたくない、という人は大部分だろう。

もちろんソーシャルフィードで自動的に情報を発信するといっても本人の承諾があるからいいじゃないか、というのが当然の議論としてある。

しかし世の中そう簡単にはいかない。

承諾しないときにはその情報発信を切る、なんてのが最悪のいいわけだ。
人間には、ミスをする、忘れるという特性がある。(他の動物にもあるんだろうが。)

単純に忘れるということで、自分が他人に知られたくないと思っているプライバシーが世界中に発信されてしまうわけだ。

テレビ局でよくある話が、ゲストがピンマイクをつけたままトイレに行って、音が局じゅうにひびいていく、というものだ。
それと同じような話だろう。

だが…このネット社会、実は知らないうちにいろいろな情報が集められている、というのも確かだ。グーグルはすべての検索結果を集めて解析しているらしいし、アップルにしても(公式には認めていないが)iPhone の使われ方を調べて記録を取っているかもしれない。
昔からマルウェアに分類されているものだって同じことをしているわけだし。クッキーだって限定的ながらいろんなことをしているわけだ。

それこそグーグルデスクトップや各種のガジェット、ウィジェットはすべて情報を集めて送っているかもしれない。
それを公式に認めて、それがユーザーにプラスになるんだ、と明言しているメタキャストのTAGIRIのFirefoxツールバーアクセサリーみたいなものもある。 なんとなくそれをインストールしたくないのは、やはりアダルト画像を見るときにその情報が送られるから、かもしれない。 実は他のツールバーウィジェットなどが同じことをやっているかもしれないのに。

現在は昔と違い、能動的に情報発信する自由がある。これはネットによってもたらされた。

その一方、「情報をむやみに発信されない自由」というのもあっていいはずだ。
これはプライバシーともつながるわけだ。

グーグルのストリートビューを私が嫌いなのも同じだ。
嫌なら消してやるといって、勝手に写真をアップする。
これは、こっちに消す自由があるからいい、というのではないだろう。
まずはネットに載せる前に承諾をとれ、といいたいところだ。
もちろんそんなのをグーグルが受けるはずはないのだが。

話しがそれたかもしれない。
もちろんソーシャルシンジケーションといっても、なんでもかんでもむやみに発信するということではないだろう。
だが、ソーシャルシンジケーションとか、行動ターゲッティングとかリードジェンとかいろいろカッコいい言葉を使うだけで、やることが「他人が積極的に発信しようとまでは考えていない情報を集めて解析する」ということでは、実はストーカーの親戚みたいなことになってしまうかもしれない。 もしそうだとしたら避けたいものだ。

単純に、自分が積極的に発信した情報を集める、あるいは他人が発信した情報を集めるフィード、シンジケーションはいいと思う。
Friendsfeedなんかは役立つだろうし、以前会ったアメリカの会社で、Facebookマイスペースをはじめとする各種のSNSやブログその他に同時に発信できるソフトを作っているところもあった。

アメリカでこれが発達したのは、日本と違い、実名社会がネット上で発達しているからだと思う。
日本はニフティのハンドルネーム、2ちゃんの匿名文化などが原因なのかどうかはわからないが、匿名がデフォルトになって、それがねチケットだ、という感じにいつのまにかなっている。

JUNET時代には実名が原則だった。
FJというニュースグループでもそうだった。

昔を懐かしんでも仕方ない。いまはこういう日本の社会が存在している、ということを前提に、何をするのがいいか、だろう。

どんどん脱線している。 まあいいか。このセミナーに出て思ったこと、には間違いないからだ。

ソーシャルフィードやシンジケーションについての理解がもしかしたら完全に間違っているかもしれない、というのはおいておいて。
(いや、置いておいてはいけないかな。そうであればご指摘ください。)

モディファイのかたがた、メタキャストの方々、関係者の皆様、本日はありがとうございました。