ウェブはバカと暇人のもの


ウェブはバカと暇人のもの
現場からのネット敗北宣言
光文社新書
著者: 中川淳一郎
出版社: 光文社
サイズ: 新書
ページ数: 245p
発行年月: 2009年04月
ISBN:9784334035020
本体価格 760円 (税込 798 円) 送料無料
ウェブはバカと暇人のもの

刺激的な話が並んでいるが、かなり当を得たものも多い。
日本のウェブは高等な人たちだけが使うのではなくて、「バカ」と「暇人」が楽しんでいて、彼らが世論を形成し、人々を匿名性の中で攻撃しているというのだ。
梅田氏の理想とはかけ離れている、という。
実際、首肯できる部分も多い。

ウェブではなくてテレビ(地上波)の影響力が高いので、ネットにしてもテレビの話題にすればPVが稼げるしそれが収益につながる、というのはたしかにそのとおりだろう。
PVを稼いで収益を得るためには、バカが飛びつくキーワードを埋め込んだり、ヤフーニュースにリンクしてもらえばいい、というのだ。 企業もブランド構築などと高尚なことは考えず、バカをひっかけるための仕掛けをすればいいと。 
「先にバカをした企業がライバルに勝利する」これも残念ながら事実に近いのではないだろうか。
もちろんそれだけではなく、硬派なコンテンツが人気になることもあるだろう。だが、それを仕掛けるのと、バカと暇人を集めるのと、どちらがより成功率が高いか…もちろん結果は見えている。

だが、結論の「ネットはあなたの人生をなにも変えない」というのは自己撞着だろう。
彼はネットで食べているわけで、そのネットがあるおかげで彼のライフスタイルが成り立っているのだから。

あと、彼はやはりPCの人間であるので、若い世代のケータイについてはあまり触れていない。
今後、ケータイが世界を変えていくことは確かだろう。
もちろん、ケータイは、若いバカが使うもっと悪質なツールだ、ということで片付けられてしまうのかもしれないが。


僕は「暇人」であることは確かなのかもしれない。
だが、ウェブがすべてバカと暇人のもの、と片付けてほしくはない
ウェブに限らない。テレビだってそうだ。

テレビもウェブもバカと暇人に影響力が高い。そこまでは認めよう。
だからといって、それ以外の使い道がないかといえばそんなことはない。

すでに確立している「バカと暇人」のルート以外に、どういう仕掛けを考えられるか。
それがウェブでビジネスをしていくものたちの課題なのだろう。

そうしなければ、梅田さんに「残念」で片付けられてしまう。


匿名性についてはどこかで考えてみたい。