Applim 感想

先週末にビッグサイトで開催されたApplimの決勝イベントに行った。
出張などでなかなか短いものでも記す時間がなくて今になってしまったが。つらつらと自分のためにも書いておく。

Applimとは学生がお題をもらってアプリのコンセプトを作るイベントだ(と理解している)。
企業のスポンサーがいろいろついている。
お題は2社から出ている。ひとつは資生堂の「マジョリカマジョルカ」もう一つはコカコーラの「ジョージア」だ。
120チームが参加し、決勝にはそれぞれ3チームずつ進出。
イベントの紹介記事はこちら

プレゼンと講評を聞き、表彰式まで出席した。

内容については詳細は書くなとの事務局の話もあり、感想に留める。

学生がいろいろなアイディアを出してプレゼンテーションする。非常に素晴らしい企画だと思う。
審査に関してはいろいろな視点がある。
それぞれ企業の審査員が、一部はリクルートの一環としてやっていたり、あるいはマーケティングの手法としてやっていたりする。

審査員の視点がそれぞれ違う。それはそれでいいのだろう。

赤羽さんは、ベンチャーキャピタリストとして、このプロジェクト(メンバーが会社を作るならその会社)がこのまま単独で立ちゆくかどうか、を視点においていた。 そのため、ターゲットマーケットの分析の甘さを指摘している。 リーン・スタートアップのコンセプトで学生たちがこのままスタートアップに突っ走ろうとするとき、このプロジェクトでは金がでない、あるいは失敗する可能性が高い、ということを考えた上の審査だ。学生だということは考えずに、スターターとしてこれはどうなんだ、という視点からの判断になる。

一方、多くの企業スポンサーは違う視点で見ている。
たとえばオプトは「面白い」かどうかで判断した。 アプリとして面白く、DLされること、および物販にもつながるであろうことがキーになる。 アプリが使用する商品が何であってもいいわけだ。コーラであってもガムであってもチョコであっても。

他にも「このままでは商品化できないが、この種を他のプロが叩いたら面白いものが出来上がるだろう」というコメントがあった。ここで求めていた(あるいは期待していた)のは、発想だ。学生たちがそのまま商品化することを期待していたわけではなく、斬新なアイディアを求めていたことになる。

「実装に向けてどこかがサポートすることを期待」というコメントもあったが、もし学生が本当にこのアプリがいいと思ったら、関係なく自分たちで実装に向けて突っ走るだろう。それを求めていない、というのは学生を見下しているという考えだってありうる。(本人はそんなつもりはないと思うが。)

もちろん実装に関して商品に特化しすぎたものは、他に応用が利かないので、実装が難しくなることもありうる。
たとえば「私は魔女」は商品コンセプトに深く結びついたものなので、スポンサー無しでは実装は難しい。

その一方、商品を持っているスポンサーとしては、当然のことながら「商品に深く結びついたプロモーション戦略」を取りたいと考える。
そのためには商品への深い理解があり、商品への「愛を持って」アプローチする方法が受けることになる。
「カワイイ」をシェアするだけでは商品の理解につながることはそれほどないが、商品コンセプトに合わせたアプリであれば、アプリの展開=商品のブランド力の強化につながることになる。

もっと言えば、商品スポンサーとしては「アプリを使ったプロモーション戦略」としてのプロポーザルを評価した。
他のスポンサーは「アプリのコンセプトとしての面白さと将来性、発展性」を評価した。
赤羽さんは「アプリを商品として世に出す会社(チーム)」を評価した。

という感じだろうか。

あるいは、「アマチュアをプロが上から目線で評価する」対「プロとしてどこまでできるは評価する」ということかもしれない。実際そんなコメントもあった、またスポンサーで出てくるのは人事担当者が多かったというのも、学生、スポンサーお互いの「ニーズ」を反映しているのだろう。


ツイッターに確か「会社は、必ずしも商品とリンクしていなくてもターゲットに刺さるものであればいい」というようなことを言われたようなことがあったと思うが、結局スポンサーが何を求めそうか、ということを考えたチームのほうが歩留まりはよかったのではないか。

なお、「うちでもっとブラッシュアップするから、これをうちで実装したい」というプロポーザルがあった場合、それを喜んで承諾するか、あるいは自分たちのものは自分たちでやる、というコンセプトのもとで自分たちで会社を作ってアプリを開発していくか(そのプロセス内で外注はありだろうが)、というので、学生の起業に対する態度がわかるだろう。

「こういうことをやってました」と履歴書に書いて大企業とかに就職したい学生か、「これを、あるいはこういうことを今後もやろう」と思い起業に進む学生か、ということなのかもしれない。 「お遊び、腰掛け」対「本気の起業」とまで言うのは言い過ぎかな。 かく言う自分だって学生時代そこまで本気の起業など考えにも及ばなかったわけで、本気の起業を考えない学生さんを批判するつもりもない。

ちなみに、内容はネットで出してはいけないし、社会人の聴衆としてお題の企業のライバル企業で広告をやってない、ということが条件になっていたのだが、電通博報堂、D2Cなどが参加しているという状況の中でその制限は無意味ではないだろうか。

アイディアパクリはまずいのでそれを制限するのはさておき、ライバル企業の宣伝もた〜くさんやってる電博が出ているのは、金を出す側だからいい、というのも違うような気はする。


なお、人間がやることだし、審査結果には色々文句も批判もあるだろう。

だがリアルワールドでも不条理がたくさんある。
それに、万人が納得する評価結果というのは無いのだ。

プロセスと基準、チームの評価結果を公開していくことが、事務局、そして審査員に求められるということになるのだろう。
外部に発表できないとしても、参加者にはしっかり伝えていると信じたい。 
それが学生たちにとって今後の糧となりうるのだから。



Last but not least,
事務局の皆さん、ご苦労様でした。
学生が中心になってこのようなイベントを開催すること自体素晴らしいと思います。
批判するのは簡単ですが、実行するのは並大抵のことではありません。
この経験を生かし、得たノウハウは次回以降にしっかり引き継いでいってください。
そして今後のキャリアの中でここで得た経験をどんどん活用して成長していってください。